きみは硝子のゼラニウム
いらないものが多すぎて、多すぎて、やっと大切なものができても、その大切にする方法がわからない。
大事にしたいのに、壊すのが怖くて。自分が傷つくのが怖くて、ずっと逃げてきた。
でも——尋くんの背中を見ていれば、見失わない気がする。
この人の後ろを歩いていれば、きっと迷わない。もし、この背中に少しでも届くことができたら。もし、同じ場所に並んで立てる日が来たら。
きっと、私は——。
そのときだった。
尋くんが、ぎゅっと私の手を握り締めて、ふいに立ち止まる。
「ひなはさ、今までずっとひとりでいろんなもの抱えてきたじゃん」
ゆっくりとした声が、静かなひまわり畑に落ちる。
「これからは、それを少しでも俺に分けてよ。どうすればいいか迷ってるものがあんなら、俺はそれを遠慮なく捨ててやるし、大事にしときたいものは、ひなよりも何倍も大事にするよ」
尋くんのほうを見上げると、少しだけ身をかがめて、私の顔を覗き込むみたいにしていた。
優しい顔。まっすぐで、あったかい瞳。その表情を見た瞬間、胸の奥がじわっと熱くなってくる。
こみあげてくるものを、うまく止められなくなる。
涙が出そうで、私は思わず唇を噛んだ。