きみは硝子のゼラニウム




すき。すき。

だいすき。



うまく息ができなくて、喉の奥がきゅっと詰まる。


それでも、目の前にいる尋くんの顔を見ていたかった。こんな優しい顔をする人を、私は知らない。



「はは、泣き虫だな」



やわらかく笑う声が落ちてきて、大きな手が私の頭に触れた。


ひまわり畑の中で、夏の風がふわりと吹き抜ける。背の高いひまわりたちが、ざわざわと揺れる音が聞こえる。


太陽の光がまぶしくて、全部がきらきらして見えるのに、私の目の前だけ少しぼやけていた。


それでも、頭に触れているその手の温度だけは、はっきりわかる。


こんなふうに触れられるだけで、こんなふうに名前を呼ばれるだけで、こんなふうに隣にいてくれるだけで、胸がいっぱいになる。



どうしてこの人は、こんなにも簡単に私の心をほどいてしまうんだろう。私の中には、まだたくさんいらないものがあるはずなのに。


不安とか、怖さとか、自分を嫌いな気持ちとか。なのに、尋くんの前にいると、それが少しずつほどけていくみたいで。



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