きみは硝子のゼラニウム




「そうだ!雛菊だ!「変わった名前してるよね。変って言われるのが嫌で、みんなにひなって呼ばせてたよね」


「……っ」



頭の奥で、その名前だけが何度も何度も響く。


自分の名前が、嫌い。



……“雛菊”なんて、これっぽっちも好きじゃない。



「お前、あんまりそういうこと言うのやめろよ」



隣にいた彼氏らしい人が、少し困ったように彼女をたしなめる。すると女の子は不思議そうな顔をして肩をすくめた。



「えー、なんで?ほんとのことだよ。ひなも別に忘れてたでしょ」



……忘れてた?

名前をバカにされたことを?

何度も何度も笑われたことを?教室でひそひそ言われた声を?



「……はは」



乾いた笑いが、勝手に喉からこぼれた。



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