きみは硝子のゼラニウム
――もしかしたら、いつか。
誰かが、本当の私を見つけてくれるかもしれない、なんて。
どうして、そんなこと思ったの。
どうして私、尋くんに気持ちを伝えたいなんて思えたの……?
「…はぁっ、はぁっ…っ、」
荒い息が喉の奥で引っかかる。胸が苦しくて、何度吸っても空気が足りない。
やっと視界の先に店が見えて、私はその場で立ち止まった。
俯いたまま膝に手をついて、必死に呼吸を整える。落ち着いて、お願いだから落ち着いて。そう心の中で何度も繰り返しながら、額から流れる汗を手の甲で拭った。
それから、ゆっくり顔を上げる。
――その瞬間。
ドクン、と心臓が嫌な音を立てた。
店の前に、見慣れた姿があったから。
……尋くん。
店長と向かい合って立ちながら、楽しそうに笑っている。
何か他愛もない話をしているみたいで、二人の笑い声がここまでかすかに聞こえてきた。
その声を聞いた瞬間、胸の奥がぎゅっと締めつけられる。