きみは硝子のゼラニウム
チラ、とふたりの方へ視線を移すと、尋くんが一瞬だけ考えるように視線を落として、それからゆっくり口を開く。
「…んー。何も聞いてないですね、ただ…」
「ただ?」
「ひなは、あー見えて寂しがり屋で、ひとりで抱えてるものもまだまだ多いと思うんです。繊細で傷つきやすくて、“自分なんか”っていつも思ってる。人に寄りかかる方法を知らないひなだからこそ、俺が大事にしたい、ですね」
………時間が止まった気がした。
うまく息が吸えない。頭の中が真っ白になる。
さっきまで必死に押さえ込んでいた感情が、堰を切ったみたいに一気にあふれそうになる。
「きゃー!言うようになったじゃない、尋くん!昔はあんなに小さかったのに!」
「昔って、いつの話してんすか」
少し照れたみたいな、困ったみたいな、尋くんの声。それから、ふたりの小さな笑い声。
……あぁ、どうしよう。
涙が、止まらない。
気づいたときにはもう、視界がぐにゃりと歪んでいた。