きみは硝子のゼラニウム
ふたりに気づかれないように、声が漏れないように、私は慌てて口元を押さえる。喉の奥から込み上げてくるものを、必死に押し戻そうとする。
でも、無理だった。
ぽた、ぽた、と涙が落ちる。頬を伝って、静かに床へ落ちていく。小さな雫が、床に丸い跡を作っていく。止めようとしても、止まらない。目をぎゅっと閉じても、涙は次から次へと溢れてくる。
胸が苦しい。苦しくて、痛くて、どうしていいか分からない。
だって私は――尋くんに大事にしてもらえるほど、立派な人間じゃないんだよ。
そんな価値、どこにもない。優しくされる資格なんて、私にはない。どうしてそんなこと言うの。どうして、そんなふうに私を見てくれるの。
やめてよ。そんな言葉、言わないで。そんなこと言われたら、期待してしまう。信じてしまいそうになる。
もしかしたら私でも、誰かに大事にされていいんじゃないかって。
そんな、ありもしない希望を。
私は膝を抱えたまま、震える体を小さく丸める。
花の香りが優しく漂っているはずなのに、胸の奥はぐちゃぐちゃで、全然落ち着かない。苦しくて、痛くて、どうしようもない。