きみは硝子のゼラニウム
彼の笑った顔を見ていると、ふと、なに?と少し意地悪な表情で私の視線に気づく。
その瞬間もまた、胸がドキッとしてしまって。
どうしたんだろう、私。
ぎゅっと左手を握りしめる。
そんな私の気持ちなんてお構いなしに、彼は私の握りしめていた手を、軽い調子でさっと握り返し、歩き出す。
訳が分からず、頭の中がぐるぐる混乱する。
彼に引っ張られるようにして歩いていると、思わず背中に「あのっ!」と声をかけてしまうも、彼は振り向きもせず、んー?とだけ返す。
「送ってくれるのはありがたいんですけどっ、お店の場所、わかるんですかっ!?」
少し下り坂になっている道を歩きながら、思わず声を張り上げる。
「はは。大丈夫、安心して」
振り向きもせずに答える彼の背中に、なにが大丈夫なの!?と叫びたくなる。
でも、ふと視線を外すと、車道の向こう側、反対の歩道で手を繋いで歩くカップルが目に入った。
今、私もあれに見えてるんだろうか。
胸がどき、どき、どき。
心臓がうるさくて、頭の中がぐるぐるする。
でも、あの日と同じように、やっぱり彼の背中には星が見える。