きみは硝子のゼラニウム




…ひなも、きっと同じだと思う。そうじゃなきゃ、おかしい。


だって、俺があげたバラを、一本だけわざわざドライフラワーにして、あんなふうに大事に残してくれてた。

少なくとも、どうでもいい相手からもらったものにするようなことじゃないはず。


今まで俺に向けてくれていた、あの表情も、あの声も、全部。嘘なわけがないし、ひながそんなふうに器用に嘘をつけるタイプじゃないことも、俺はちゃんと知ってる。


だから、急に気持ちが変わるなんてことも…ひなに限っては、ありえない。…と思う。思うし、そう思っていたい。


胸の奥が、じわじわと嫌な熱を持ちはじめて、じっとしていられなくなる。


気づいたときには、体が先に動いていた。

慌てて階段を駆け上がる。部屋のドアを乱暴に開けて、中に入ると、床に無造作に放り出してあった上着を掴む。考えるより先に、それを羽織って、またすぐに階段を駆け下りた。


呼吸が浅くなる。心臓の音がうるさい。


何やってるんだ。そう思うのに、止まれない。



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