きみは硝子のゼラニウム
ふと空を見上げると、やけに遠く感じて、余計に胸の奥がきしんだ。
「……はぁーっ」
もう一度大きく息を吐いた瞬間、どっと疲れが押し寄せてきて、その場で力が抜けるみたいにしゃがみ込んだ。
なんなんだよこれ、って思うくらい、いろんな感情がぐちゃぐちゃに混ざってる。
情けなさとか、やるせなさとか、どうしようもない喪失感とか。
今まで味わったことのないような痛みが胸の奥に居座ってて、消える気配なんて全然ない。
それでも、どこかでまだ諦めきれてない自分がいて、そんな自分に思わず笑いがこみ上げた。
ほんと、救いようがない。
だって、一目惚れだった。たった一瞬で、全部持っていかれたみたいに、心を掴まれて、気づいたときにはもう遅くて。
あんな衝撃、この先の人生で二度と起こらない気がする。そう思えるくらい、特別だった。
ゆっくり立ち上がって、冷えきった手をポケットに突っ込む。指先の感覚が鈍いまま、行き場もない気持ちを抱えて来た道を戻る。
〈私を忘れて幸せになって〉
……勝手に決めんなよ、そんなの。
忘れろとか、幸せになれとか、簡単に言わないでよ、ひな。
俺は、そんなに器用じゃない。
ひながいないと、意味ねーんだよ。