きみは硝子のゼラニウム
わざと、はーっと大きく息を吐いてみる。白く広がるそれを見ながら、ひな、ちゃんとあったかくしてるかな、なんて考えてしまう自分に、少しだけ苦笑する。
……ていうか、ここまで追いかけてきてるって知ったら、普通に怖がられるよな。
俯いて、スマホを取り出して時間を確認する。画面の数字をぼんやり眺めながら、頭の中では別のことを考えていた。
バイト、辞めるって言ってたけど……いつ辞めんだろ。
ふっと、足元に影が落ちた気がして、ゆっくり顔を上げる。
「あのー……誰か、待ってるんですか?」
「え?」
目の前にいたのは、セーラー服の上にカーディガンを羽織った女子が3人。
「校門にかっこいい人がいる!って、ちょっと噂になってますよ」
「……え」
思わず言葉に詰まる。そんなつもりは全然なかったのに、なんだか変に目立ってしまっていたらしい。3人のうちの1人が、ふっと俺の後ろのほうに視線を向けた。
つられてそっちを見ると、校舎の二階の窓から、何人かがこっちを覗いているのが見える。
「あー……えっと」
どう反応していいのかわからなくて、曖昧に言葉を濁すと、別の子がぱっと目を輝かせた。