きみは硝子のゼラニウム




「それにしても、相手が一色さんなら納得です」


「納得って?」



聞き返すと、3人は一瞬顔を見合わせてから、少しだけ言いにくそうに視線を揺らした。



「一色さんって、高嶺の花っていうか……あんまり人と一緒にいるところ、見たことなくて」


「中学のときから、なんか“鉄壁女”って影で呼ばれてるらしいですよ」


「……へぇ」



思ってもいなかった言葉に、うまく反応できないまま相槌だけが出る。



「あっ、でもいじめとかじゃないんです!ただ、近寄りがたいっていうか……」


「そうそう。綺麗な顔してるから、余計そう見えるよね」


「だからこんなイケメンと知り合いだなんて納得だなーって…!」



3人はそう言いながら、お互いにうなずき合っている。


鉄壁女、か。


頭の中でその言葉をなぞってみても、どうしてもしっくりこない。確かにひなは綺麗で、ぱっと見は少し冷たそうに見えるかもしれない。


でも、少し話せばわかる。


強く見せているだけで、本当は全然違う。誰よりも繊細で、平気なふりをしているだけで、本当はひとりでいることを寂しいと思っているし、誰にも見せないところで、ちゃんと傷ついてる。



……どこが、鉄壁なんだよ。



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