きみは硝子のゼラニウム




「あの、よかったら――」



1人に腕を掴まれて、思わず振り払う。


ここにいる意味はない。早く、ひなに会わないと――その一心だった。



歩き出した瞬間、目の前に見覚えのある顔が現れた。

まさか、こんなところで。

気づかず通り過ぎようとするそいつの腕を、つい掴んでしまう。



「…はっ?」



驚いて振り向いたその顔が、一瞬にして眉間にしわが寄る。

ひどいやつ。



「金森だっけ?」


「なんか用ですか?」


「ちょっと話があるんだけど、コンビニでも行かない?奢るよ」


「嫌だ」



あっさり拒否される。でも、半ば強引に最寄りのコンビニまで連れていく。

奢る、と言ったのに、借りは作りたくないとかなんとかで、結局買うのは俺だけ。パンと飲み物を手にして、イートインスペースに座る。


チラッと金森を見ると、眉間にしわを寄せて、不満そう。



「話って、何ですか?一色さんのことですか?」



俺は暇じゃないんですけど、って、テーブルを人差し指でトントン叩く。金森を横目でチラッと見ながら、パンの袋を開けて一口頬張った。



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