きみは硝子のゼラニウム




お母さんが亡くなった原因が私だってことは、どれだけ時間が経っても消えてくれなくて、ふとした瞬間に鋭く胸を刺してくる。


そんな私が、お母さんを恋しいなんて思っていいのか、思い出にすがる資格なんてあるのか、考えれば考えるほどわからなくなる。


少しは強くなれたと思っていた気持ちも、旧友に会ってしまえば、あっけないほど簡単に崩れてしまう。


笑って話していても、心の奥ではずっとあの頃の自分が顔を出してきて、何も変わっていないんだと突きつけられる。


前に進んでいるつもりだったのに、結局は同じ場所をぐるぐる回っているだけなのかもしれない。


外では相変わらず雪が降り続いていて、その白さがやけに眩しくて、目を細めた。


全部、なかったことにできたらいいのに――そんなこと、できるはずもないのに、どうしてもそう思ってしまう自分が、まだここにいた。



最後に店内のお花をひとしきり眺めまわって、私は静かにPetal & Co.をあとにした。


扉を開けると、冷たい空気と一緒に雪が頬に触れて、思わず目を細める。

振り返れば、あたたかい光に包まれた店内がそこにあって、ほんの少しだけ足が止まりそうになったけれど、それでも私はそのまま歩き出した。


もう戻らないと決めたみたいに、振り返らないまま、ただ前だけを見て。



< 255 / 301 >

この作品をシェア

pagetop