きみは硝子のゼラニウム

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バイトを辞めた翌日。

気持ちを切り替えようとして、必死に授業に集中するふりをしてみるけれど、心の中はもう別のことでいっぱいだった。

頬杖をついて窓の外をぼんやり眺めれば、雪がひらひらと舞い落ちていて、指先まで冷たくなるような寒さが教室の空気に混じっている。



「で、ここの範囲はテスト出す予定だからー」



先生の声が、右から左へただ流れていくだけで、全然頭に入らない。



…………尋くんは今、あったかくしてるだろうか。

寒がっていないだろうか。

風邪なんてひいてないかな。体調は大丈夫?



一度考え始めたら、もう止まらなくて、問いかける気持ちが頭の中をぐるぐると侵略してくる。


だめ。だめだめ。しっかりしなきゃ。

授業中なんだから、ちゃんとノートに目を落とさなきゃ。


そう思うのに、瞬きするたび、なにかが零れ落ちそうで怖くて、雪を見つめるふりをしながら、必死に止めていた。



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