きみは硝子のゼラニウム




「一色さん、ちょっといいかな?」



昼休み。

自分の席で黙々とお弁当を口に運んでいると、空いていた前の席にすっと座って、声をかけてきたのは金森くんだった。



「今日、結構積もるらしいよ」



――ちょっといいかな?の返事をする前に、金森くんはすぐに話し始める。

もぐもぐと口の中に入れていたものを急いで飲み込む私を見て、金森くんは笑いながら「ごめん」と言った。


金森くんが私に話しかけてくることは珍しくないけれど、人気者の金森くんが私に話しかけているなんてのは、他の人からすれば気になるんだろう。

あまりにも周りの目線がこちらに向いている気がしていたたまれない。


お弁当が途中だけど、しょうがない。



「金森くん、場所変えてもいいかな?」



思い切ってそう言うと、金森くんは「なんで?」と少し驚いた顔をした。

私はチラチラと目くばせをして、居心地の悪さを伝えると、ああ、と頷いてゆっくり立ち上がった。気づいてくれたみたい。



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