きみは硝子のゼラニウム
教室を出ると、廊下の冷たい空気が頬を引き締め、息が白くなる。
寒い。
つい肩をすくめながら歩くと、金森くんが奥のほうを指さして、「あそこの空き教室入る?」と聞く。
頷いて後ろをついていくけれど、心臓は早鐘のように打って、手のひらがじんわり汗ばんでいる。
話って…いったい何の話なんだろう。
周りの目を避けるために場所を変えたはずなのに、ふたりきりになると、間違えたかもしれないという気持ちが重くのしかかる。
何を言われるか分からない恐怖と緊張で、頭がぐるぐると回って、さっき食べたものまで吐きそうな気分になる。
空き教室に入ると、暖房がついていてほっとするくらい暖かい。
金森くんは窓側の席に座り、私はそっとその隣に腰を下ろした。
「この前、あの人が学校まで一色さんに会いにきてたよ」
金森くんの声が耳に入った瞬間、頭が一瞬停止した。
「あの人って…?」
「…あー、名前知らないんだようなぁ…えーっと、一色さんがバイト中、俺と会ったときのこと覚えてる?クラス会の日の…」
「…うん、覚えてる」
答えたものの、心臓が早鐘を打ち、息が浅くなる。