きみは硝子のゼラニウム
「そのとき、他校の制服着た人が一色さんのこと連れてったじゃん。あの人」
「…。」
尋くんだ…。
うそ…。
尋くんが、ここに来てたの?私に会いに…?
なんで…?
頭の中が一気に熱くなり、手足が冷たくなるのを感じた。
私から離れたはずなのに、余計に怖くて、何を言われるのか想像するだけで胸が押し潰されそうだ。
「あの人、一色さんは学校でどんな感じなのかとか、元気にしてんのとか…すごい必死だったけど、もしかして会ってないの?」
金森くんの言葉が現実なのか、幻なのか、よく分からなくなった。
視線を落として、机の端をぎゅっと握る。
会ってない、どころではない。私から、離れたんだよ。
これ以上、尋くんのそばにいる資格はないって、頭では分かっている。
尋くんのことを好きだ、と自覚しても、少し前向きになれた気がしても、その感情はほんの一瞬で、すぐに心の中の柵が高く伸びてしまう。