きみは硝子のゼラニウム




これ以上、誰も入ってこれないように、壁を作る。

もう傷つきたくない。私も誰かを傷つけたくない。だから、もう、私のことは放っておいてって。

忘れて、私のことなんて全部忘れて、幸せになってって、そう伝えたのに。



「…ふたりの間に何があったかは知らないけれど、あの人笑ってたよ」


「……笑って…?」


「うん。あんな顔で“ひなのことは俺に任せてよ”なんてよく言える。あいつのいう通り、俺には無理だよ」


金森くんは頬杖をつき、軽く笑った。



「だからさ、もったいないよ、一色さん。俺がいうのもなんだけど、あの人一色さんのこと、すごく好きなんだと思うよ」


「……っ…う、ん…」



…わかってる。

私がいちばん、わかってるよ。

尋くんが、冗談でも一時の感情でもなくて、ちゃんと私を心から好きになってくれたこと、ちゃんと感じてるの。



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