きみは硝子のゼラニウム
ぽろぽろと、大粒の涙が次から次へと溢れて、視界がまた滲んでいく。
マフラーで隠しても、もう隠しきれないくらいに、ぐちゃぐちゃになっていく。
「……っ、やだ……」
小さくこぼれた声は、自分でも驚くくらい震えていて、それでも止まらない。
嬉しいのか、悲しいのか、苦しいのか、もう自分でもわからない。
ただひとつわかるのは、この花束が、この時間が、この人が、どうしようもなく大切で、どうしようもなく、愛おしいってことだけだった。
「ひながほんとは大切にしたいと思ってるもの、大切にしてるものは、俺も大切にしたい」
まっすぐすぎるその言葉が、胸の奥に何の抵抗もなく入り込んできて、ぐしゃぐしゃだった感情を一気に揺さぶる。
「……っ、うっ……っ」
心の中にずっと作ってきた、高い柵。
誰も入ってこないように、これ以上傷つかないように。誰も、私を傷つけませんように。私も、誰も傷つけませんように。
願いながら、少しずつ、少しずつ積み上げてきたはずだったのに。
その柵の向こう側に、誰も来られないようにしていたはずなのに――。
尋くんは、やっぱり、どんなに高くしても、軽々と飛び越えてきちゃうんだね。