きみは硝子のゼラニウム




「ひなは自分のことをよく卑下するけど、そんなことないんだって分かってほしい」


差し出された花束を、震える手で受け取ると、色とりどりのデイジーが、まるで「ここにいるよ」って語りかけてくるみたいに揺れた。



「だって……雛菊って、デイジーだろ」


「……っ、う……んっ……」



うなずくだけで精一杯で、言葉なんてとても追いつかない。


次の瞬間、ふわっと視界が近づいて、気づいたときには尋くんの大きな体に包まれていた。

あたたかくて、やわらかくて、どこか懐かしいその感触に、また涙がこぼれる。


――初めて会ったときみたいだ、って思った。

この世界に、ちゃんと私を見てくれている人がいるんだって、初めて知って、少しだけ救われた気がしたんだ。


あたたかかった。キラキラしてた。



大きな手が、すき。少し無骨で、それでも優しくて、ちゃんと離さないでいてくれるところがすき。

横顔もすき。真剣なときに少しだけ鋭くなる目元も、すき。

少し低めの声がすきで、でも笑うと少しだけ高くなるのも、すき。

目を細めて笑う、その優しい顔が、どうしようもなく、すき。



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