きみは硝子のゼラニウム

カスミソウ


*

*

*




ぎゅっと握りしめられた手が、じんわりとあたたかい。

冷たいはずの冬の空気の中で、そのぬくもりだけがやけに鮮明で、指先からゆっくり心まで溶けていくみたいだった。


ふと、斜め上を見上げると、そこには尋くんの横顔。

街灯の光に照らされて、少しだけ影が落ちたその表情が、いつもより大人っぽく見えて、思わず見入ってしまう。



「ん?」


「……!」



やばい、見てたのばれた。

そう思った瞬間、尋くんがぐっと顔を寄せてきて、反射的に逆方向へ勢いよく首を振る。

逃げるみたいにそっぽを向いた私の耳に、「ははっ」と楽しそうな笑い声が届いた。

……絶対、からかわれてる。


というか、ついさっきまで抱き合ってたのに、今さらこんなことで顔を赤くしてるのってどうなんだろう、って自分でも思う。

でも無理なものは無理で、心臓はさっきからずっと落ち着いてくれない。



< 274 / 301 >

この作品をシェア

pagetop