きみは硝子のゼラニウム
ふと気づく。繋いでいる尋くんの手が、少し冷たいことに。
……もしかして、私が出てくるまで、ずっと外で待ってたのかな。あんなに寒かったのに。それでも帰らずに、私を、待っててくれたのかな。
そう考えた瞬間、胸の奥がぎゅっと締めつけられて、また涙がこみあげてきそうになる。
慌てて誤魔化すみたいに、繋いだ手に力を込めると、尋くんも同じようにぎゅっと握り返してくれた。
その仕草が、どうしようもなく嬉しくて。あたたかくて、少しだけ恥ずかしくて、それ以上に、たまらなく愛おしい。
何気ないこの瞬間が、こんなにも大切だって思えることが、まだ信じられないくらいで、でも確かにここにあって。
「ひな」
不意に名前を呼ばれて、びくっと肩が跳ねる。
「えっ!?」
反射的に顔をあげると、尋くんはどこか楽しそうにこっちを見ていて、
「家、着いたよ」
「……え!?」
驚いて前を見ると、本当に、見慣れた自分の家が目の前にあった。
……え、ちょっと待って。
ま、まってまって!?
頭の中が一気に焦りでいっぱいになる。何にも話せてない。聞きたいことも、言いたいことも、まだいっぱいあったのに。
このまま、また離れちゃうの?