きみは硝子のゼラニウム




尋くんは、ポン、と軽く私の頭を撫でて、「じゃあ」と何でもないみたいに言って、そのまま行こうとする。


……まって。待ってよ、尋くん。

せっかく会えたのに。会いに来てくれたのに、本当にこれで終わりなの?そんなの、あまりにもあっけなさすぎるよ。

私、まだ何も伝えられてない。



気づいたときには、もう体が先に動いていた。

伸ばした手が、尋くんの制服の袖をぎゅっと掴む。



「え?」



振り向いた尋くんが、少し目を見開いて驚いた顔をする。その表情に一瞬ひるみそうになるけど、それでも手を離すことはできなかった。



「……っ、ま、まだ帰っちゃだめ」


「……。」



返事がないまま流れる沈黙が、怖くてたまらない。



「ちょっとでいいから……一緒にいたい」



言いながら、だんだん顔が俯いていく。


どうしよう、変に思われたかな。重いって思われたかな。

なにか、なにか言ってよ、尋くん――。



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