きみは硝子のゼラニウム
「明日って、土曜日だよな?」
ぽつりと落ちてきた言葉に、思わず顔をあげる。
「……うん」
「今日も泊まってっていいんだよな?」
「え……!?」
と、泊まる……!?
「だめ?」
「だっ、だめじゃないけど……!」
「今日こそ、朝まで映画見てようよ」
そう言って、少しかがんで私と目線を合わせてくる。
ニッと浮かべたその少し意地悪な笑みが、ずるいくらいかっこよくて、またドキドキが止まらなくなる。
こんな状況なのに、そんな顔しないでよ、って思うのに、目が離せない。
さっきまで「もう伝えられない」って思っていたのに。もう遅いって、諦めるしかないって、そう思っていたのに。
今、こうしてまた隣にいられることが、夢みたいで。繋がれたままの手も、近すぎる距離も、全部が現実だって信じきれないくらいで。
でも――それでもいい。
夢でもいいから、もう少しだけ、この時間を手放したくないって、そう思ってしまうくらいには、私はもう、尋くんのことを手放せなくなっていた。