きみは硝子のゼラニウム




……あ、髪の毛、ちょっと伸びたかも。


それくらい、会ってなかったんだ。


そう思った瞬間、胸の奥がぎゅっと苦しくなる。

その時間が空いてしまったことが、急に現実味を帯びてきて、どうしようもなく切なくなる。思わず唇をかみしめる。だって、気を抜いたら、またすぐ泣きそうになっちゃうから。


こんなにキラキラしてて、一緒にいるだけで幸せなのに。


――幸せだからこそ、泣きたくなるの。



「あ、忘れてた」



尋くんが、急に立ち上がる。そのまま迷いなく奥の畳の部屋へ向かっていく背中に、少しだけ慌てて声をかけた。



「尋くん……?」


「この前、挨拶しなかったから」



振り返りもせずにそう言ったあと、尋くんはすっと正座をした。

その先にあるのは――お母さんの仏壇。



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