きみは硝子のゼラニウム




「え?」


「このままでいい。いくら?」



またしても、なんで?と頭の中でぐるぐる考えながら、私は値段を伝え、お金を受け取る。


ほんとにこのままでいいの?しかも、バラなんて…。


さっき、花言葉の話をしたからなのか、正直気になって仕方がない。



『一目惚れ』


――誰にあげるの?なんのために?



ぎゅっと唇を結び、バラを手渡す。



「ありがとうごさ、」



ありがとうございました、と言いかけたその瞬間、彼がふと私に向かってそのバラを差し出してきた。



「え、と…あの」


「もらってくれない?」


「…なんで?」



なんで、なんで、なんで?

さっきからずっと、頭の中でその言葉がぐるぐる回る。


これが一番意味が分からない――心臓がドクドク鳴って、息が止まりそうになる。


でも、バラを見つめる彼の真剣な瞳を見たら、断れそうにない自分がいる。



< 28 / 301 >

この作品をシェア

pagetop