きみは硝子のゼラニウム

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お店に入って、まず最初に目に飛び込んできたのは、カウンターにでかでかと置かれた胡蝶蘭だった。


真っ白で、凛としていて、まるで「見て」と言わんばかりにそこに立っている。

……あ、そういえば。今日、郵送するとかなんとか店長が言ってたっけ。


奥にいるであろう店長に向かって、「おはようございます」と声をかける。



「おはよー!来て早々悪いんだけど、配達頼んでいい?」


「はーい。今日、2件入ってましたよねー?」


「そうそう」



パソコンで注文内容を確認して、スマホのマップアプリに住所を登録する。

ひとつは花束。もうひとつはチューリップ10本の注文。赤と黄色が混ざった、春そのものみたいな色合い。


すでに丁寧にラッピングされて用意されているそれらを見つめながら、今日も誰かの笑顔が咲きますように、と小さく願う。



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