きみは硝子のゼラニウム
信号で立ち止まったとき、ふと視線の先に入ったのは、横断歩道の向こう側にいる親子の姿だった。
お母さんと、小学生くらいの女の子。
ぎゅっと手を繋いで、顔を見合わせながら楽しそうにお喋りしている。
女の子が、どこからか舞ってきた桜の花びらを見つけて「あ、見て!」って指さして笑う。
その横顔がきらきらしていて、春の日差しをそのまま閉じ込めたみたいで。
……私も、あんな感じだったのかな。
そう思った瞬間、胸の奥がぎゅっと痛くなった。
微笑ましいな、いいな、って。それだけで終われたらよかったのに。
どうしても、どうしても。
私が——
「なにしてんの?」
……え?
耳元に、低くて柔らかい声が落ちてきた。
「……!?」
心臓が跳ねる。
びくっと肩が揺れて、思わず息を飲んだ。