きみは硝子のゼラニウム




なんで尋くんは、私なんかに……。



考えれば考えるほど、わけがわからない。


だって、尋くん、絶対女の子から人気がある。


あの整った横顔と、無駄に優しい声と、少し意地悪そうに笑う口元。友達も多い気がするし、誰とでも自然に話せるタイプだ。



きっと私が知らないだけで、可愛くて、明るくて、彼に似合う子なんて、すでに近くにいるはずだ。
それくらい綺麗で、魅力的で、かっこいいから。



それに、思わせぶりだ。人たらしだ。

私なんかでも、こんなに簡単にときめいてしまうんだから。尋くんともっと仲のいい子たちはどうしてるんだろう。




綺麗、なんて。ずっと見ていたい、なんて。


昨日、真っ直ぐな目でそう言われたときのことが、何度も何度も頭の中で再生される。

あの声も、あの距離も、あの空気も、全部やけに鮮明で、忘れたいのに忘れられない。


きっとあれは、深い意味なんてなくて、思ったことをそのまま口にしただけ。尋くんはそういう人なんだと思う。


だからたぶん、私みたいな人間は物珍しかっただけなんだ。珍しい生き物を見つけた、みたいな、そんな軽い興味。



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