きみは硝子のゼラニウム
あ…私の名前。
そうだ、確かにちゃんと名乗ってなかった気がする。
「あー…名前」
「え?言いにくい?」
首を少し傾げて覗き込まれて、余計に喉が詰まる。
言いにくい、とかじゃ、ないけど。
ただ、怖いだけ。なんとなくぎゅっと手に力が入ってしまう。
カフェラテのカップが小さく音を立てた。
チラ、と隣に視線を移せば、尋くんは私の握った手をじっと見ていて、はっとして慌てて力を抜く。
名前、くらいでっ。
たったそれだけなのに、どうしてこんなに緊張してるの、私。
尋くんに変に思われたくないっ…。でも、でも…。
名前を教えて、変って思われたらどうしよう。
似合わない、とか、変な名前だとか、思われたらどうしよう。
じわっと冷や汗が背中をつたっている感触がして気持ち悪い。
たぶん、すでに、尋くんには変な奴だと思われてる。
名乗るだけなのにこんなにしぶるのおかしいって、絶対思ってる。