きみは硝子のゼラニウム




心の中では言い訳と反論がポンポン生まれてくるのに、いざ口を開くと金魚みたいにパクパクするだけで、全然声にならない。


だって、尋くんが意地悪な顔で私を見てるからっ…!


目の奥が楽しそうに細められていて、完全に私の反応を面白がっている顔だ。



「へぇ。いいよ、なんでも聞いて」



嬉しそうにほんの少し口角を上げて、また私の顔を覗き込んでくる。


距離、近い。近いってば。

尋くんは、もっと人との距離感を学んだほうがいいっ…!


逃げ出したい気持ちは山々だけれど、尋くんのことを知りたい気持ちも、たしかにある。

怖いのに、知りたい。近づきたいのに、近づくのが怖い。

そんな矛盾を抱えたまま、どうにか心臓を落ち着かせて、小さく深呼吸をひとつ。



「…な、何年生ですか?」



やっとの思いで絞り出した質問に、尋くんはあっさりと答えた。



「3年」



さ、3年。やっぱり、年上だった。

なんとなくそうじゃないかと思ってはいたけれど、それでも一つしか違わない。落ち着きがあるし、余裕もあるし、もう少し上かと思っていたけれど、制服着てたし…。



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