【完】きみは硝子のゼラニウム
掴んだままの手に、無意識に力が入った、その瞬間だった。
するり、と尋くんの左手が後ろに伸びてきて——次の瞬間、私の手を、ぎゅっと包み込んだ。
「…っ、あ」
……え、なに。どうして。
わ、私がシャツ引っ張ってたから?
ただ、上から重ねるみたいに、でも確かに握られていて、頭が真っ白になる。キャパオーバー。
からかわれてるだけって思い込もうとしてたのに、冗談でできるものなの?
「いろんな女子が尋どこ行ったってうるせーの!高校最後なわけじゃん?ちょっとでいいから、あいつらに夢見させてやったら?」
ふいに、聞こえてきたその言葉が、鋭い針みたいに胸に刺さった。
高校最後。夢見させてやったら。
胸の奥が、ぎし、と嫌な音を立てる。
……これ、私、ここにいちゃいけないやつじゃない?