きみは硝子のゼラニウム




怒ってる?呆れてる?どうしてそんな顔するの。


だって、ここで「だめ」って言ってどうなるの?


私にそんな権利ある?


引き止めたら、重いって思われない?嫌われない?




いろんな不安が一気に押し寄せて、喉がきゅっと締まる。


ほんとは、行ってほしくない。


ほんとは、ずっと隣にいてほしい。


でも、それを言えない自分がいちばん嫌いで。



「すぐ戻るから、ここにいろよ」



なぜか念を押すみたいに、少し強い声でそう言われた。

うん、と小さく頷くしかできなかった私を残して、3人は並んで歩いていく。

すぐそばの教室の扉が開いて、中へ入っていく背中が見えた、その瞬間。



「尋、待ってたー!」


「遅いってばー!」



弾んだ女の子たちの声が、一斉に廊下へ溢れ出す。


明るくて、楽しそう……。
その中心は、きっと尋くんがいるんだろうなぁ…。



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