きみは硝子のゼラニウム




「……ひとりにしないでほしいのに、行っていいよって言っちゃうの…でも、ほんとは私と一緒にいてほしかったのっ…」



尋くんが行ってしまったときに、なんで素直に行かないでって言えなかったんだろうって後悔した。


ひとりでいるほうが楽、なんて思ったことは一度もない。


素直になれない自分に、悔しくて、情けなくて、涙がまたひと筋落ちる。



期待しちゃだめって、ずっと、ずっと、自分の気持ちを押し殺してきた。


弱音を吐くことも、誰かに甘えることも、端から選択肢になかったのに。


なのに、尋くんに出会ってからというもの、私は自分じゃなくなったみたいで、心の奥の小さなルールも、理屈も、全部が揺らいでしまった。



ひとりになるのが、もうずっと怖くて、息を吸うのさえ重く感じる。



「……自信がなくて、どこまで許してくれるかなって、試しちゃって、ごめんなさい~っ…」



……自分に自信がないからって、人を試すなんて、やってはいけないことだってわかっているのに。


心の弱さを隠すために、つい、尋くんを試してしまう。



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