きみは硝子のゼラニウム
きょとんとした顔で尋くんを見つめると、尋くんは私の頬から手を離して、両手で顔を隠しながら大きくため息をつき、その場にしゃがみ込んだ。
「え、っと…尋くん…?」
声をかけると、尋くんは顔を隠していた手を少し下げて、口元まで下ろして、やっと私を見上げた。
「…俺、言ったよな?ずっと見ていたいって」
「…っ、そ、それは…」
言われた。確かに、言われた。
忘れない。絶対に忘れない。
あの日、尋くんが差し出した一輪のバラ。忘れていない。忘れられるはずもない。
死ぬまで忘れないと思う。
忘れてはいない、けど…。
「…あれは、珍しいからとか…ただほんとに、き、綺麗だからって理由で言ってるだけかと…思ってて」
だって、そんなの。普通、そう思うでしょ?
王子様みたいな尋くんが……ありえないって思うのが自然でしょ?