きみは硝子のゼラニウム




尋くんは、失敗した、なんて言いながら立ち上がって、今度はそっと私の頬を撫でた。



「跡、ついてる」


「…んっ、」



跡、とはたぶん涙の跡のことだろう。

尋くんの手がくすぐったくて、思わず目を閉じて、すり寄るようにしてしまう。


すると、尋くんが、…だから、そーいうのが、と小さく呟いた。



「そういうのが、なに……?」



戸惑って少し見上げながら言うと、尋くんは少し言葉に詰まりながらも続けた。



「かわいすぎて、めちゃくちゃにしたくなるから、そーいうの男の前でやめな?」


「………!?」



め、めちゃくちゃ……!?


なにがなんだか分からないのに、尋くんの言葉にカッと顔が熱くなり、思わず後ずさってしまう。



「…ひ、尋くんがっ、そんなこと言うなんてっ」



胸がどきどきして、頭が真っ白になる。どうして、こんなにドキドキするんだろう。


目の前の尋くんは、強くて優しくて、でもちょっと危険で……触れられるたび、心も体も揺れてしまう。



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