絶対恋度
「知らないひと。だって社会人になって出来た、レアなお友達だもん」

この歳になって友人のありがたみが身体に染み入る。学生のころ簡単にできていたはずの関係は、いまはきっかけが無いとできないほど困難なものになった。

だから、わたしのなかであの人は、大事な存在だったのになあ……。

「あーあ〜。だから友達じゃなくて俺に頼みにきたわけか」

「そういうこと」

「辛かったなあ。ここは奢りだから、気の済むまで飲め」

「いとは〜!」

チャラチャラした見た目をしている絃葉だけど、こう見えて身内にはとことん優しいスパダリ気質な男なのだ。

「つかまじで住む所どうすんの?柑花も同棲始めたし、友達少ない桜雪じゃあかなり無理ゲーじゃん」

感動に浸っているわたしに、絃葉はさらに追い打ちをかける。やっぱり、notスパダリ。ただのいじわるな男だ。

「そうなんだよー……柑花はいいよって言っても、琥珀くんに怒られちゃう」

「琥珀くん、あいつ無言で圧かけてきそうじゃん」

「それは絃葉が意地悪するからでしょ?」

絃葉の性格にいじわるとひねくれは初期搭載されていて、おそらく柑花の彼氏はいちばんの被害者だ。

「しばらくお嬢様がネカフェ生活とかわらえる。がんばれ〜」

にやりと絃葉が微笑んだ瞬間、個室の引き戸が勢いよく開いた。





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