君となら地獄を見たい
火鷹はわたしのデスクの上を見ると「薬の補充してたのか。」と言い、ソファーに腰を下ろした。
「うん、ここ二日で結構使ったからね。」
「大丈夫か?疲れた顔してるぞ。」
「あら、火鷹には珍しく心配してくれてるのね。」
わたしが皮肉っぽくそう言うと、火鷹は「心配はいつもしてるよ。」と真剣な表情で言った。
「そうだったの?ありがとう。でも、大丈夫。みんな頑張ってるのに"疲れた"なんて言ってられないから。」
わたしはそう言って、デスクの椅子に腰を掛けると、毒針の補充の続きを始めた。
「まだ、それ余ってるか?」
「あぁ···、前に使ってた時計型のならあるけど。」
「それ借りていいか?」
「うん、ちょっと待って。」
わたしは椅子から立ち上がると、ベッド横のサイドテーブルの引き出しを開け、わたしが以前使っていた時計型の毒針装置を取り出した。
「使うの?」
「念の為に持っておこうと思って。」
そう言う火鷹に時計型の毒針装置を手渡す。
火鷹はそれを受け取ると「さんきゅっ。」と言い、早速手首に装着していた。
「それ、わたしはもう使わないから火鷹にあげる。」
「いいのか?」
「うん。わたしは今、指輪型を使ってるし。それ、あと50本は毒針入ってると思うから。」
「わりぃな。助かるよ。」
今日はやけに言葉に柔らかさがあり、素直な火鷹。
わたしはそんな火鷹に「それで、どうしたの?何か用があったから来たんじゃないの?」と訊いた。
すると火鷹は「えっ、あぁ···まぁ。」とハッキリしない様子でわたしから目を逸らした。
「何よ、ハッキリ言いなさいよ。いつもの火鷹らしくないわね。」
わたしはそう言いながら、指輪型の毒針装置の補充を完了させ、左手の人差し指にはめる。
それから火鷹が座るソファーへと歩み寄り、火鷹の隣に腰を掛けた。
火鷹は何か思い詰めた様子で黙り込み、自分の足元に視線を落としていた。
心配になったわたしは「火鷹?大丈夫?」と少しだけ火鷹の顔を覗き込んだ。
火鷹は唇に力を込めると、ふとこちらに顔を向け、真剣な表情でわたしを見つめた。