君となら地獄を見たい
そして、あれから二日が経った。
しかし火鷹とは、社内で顔を合わせる事はあっても、本部に戻って来る事はなく、夜をどこで過ごしているのかは知る術もない。
(ちゃんと寝てるのかなぁ。ご飯は食べてるんだろうか······)
そんな事を考えながら、社長室でボスと待機をしていると、ミクロマイクから一閃くんの声が聞こえてきた。
『ボス、射生さん···っ······』
明らかにいつもと違う様子の一閃くんの声に、ボスとわたしは焦った。
「一閃?!どうした?!」
ボスの呼び声に一閃くんは力無く笑うと、『情けないっす、しくじりました。申し訳ありません。』と言った。
「一閃くん?!今どこに居るの?!」
わたしが声を掛けると、一閃くんの荒い息に紛れて、大樹さんの声が聞こえてきた。
『一閃の場所、特定しました。火鷹が救出に向かってます。』
「分かった。」
大樹さんからの情報に返事をしたボスは、「なっちゃん。一閃が戻ったら、すぐ手当てしてやってくれ。」と言い、スーツの上着を羽織った。
「了解。ボスはどちらへ?」
顔付きが変わり、スーツの襟を整えるボスが醸し出すオーラは、明らかに怒りに満ちていた。
「ちょっと出て来る。すぐ戻るから心配しないで。」
怒りを見せまいと、わたしには柔らかい口調でそう言うボスは、足早にエレベーターに乗り、地下へと下りて行った。
きっと地下通路から外部へ出て、どこかへ向かうのだろう。
(一閃くんの救出に火鷹が向かったって言ってたけど、火鷹は大丈夫かな。とにかく、一閃くんが来たらすぐ手当て出来るようにしておかないと。)
わたしも急いで隠し扉からのエレベーターへ乗り込むと、一閃くんの手当ての準備の為に医務室があるB4へと向かったのだった。