君となら地獄を見たい
「えっ、火鷹?」
「夏菜?」
お互いにお互いが来る事を知らなかったわたしたちは、顔を見合わせ驚く。
ボスは「ほら、火鷹も入れ。」と火鷹を部屋の中へ促し、わたしたちをソファーへ座るように言い、ボス自身はベッドに腰を掛けた。
「さて、火鷹も来た事だし···話すか。」
何についての話なのか、全く知らされていないわたしだが、それは火鷹も同様らしく、わたしたちは顔を見合わせた。
「まず、なっちゃんの話からしようかな。」
「はい。」
ボスは、ベッド横にあるサイドテーブルの引き出しを開けると、そこから何かを取り出した。
それは手のひらサイズの木箱のようだった。
「これをなっちゃんに渡したかったんだ。」
「わたしに、ですか?」
「うん。開けてみて?」
ボスはその木箱をわたしに差し出しながら、そう言った。
わたしはそれをそっと両手で受け取り、自分の手のひらに置かれた木箱を見つめる。
かなり年季の入った傷だらけの木箱には、微かに何かのロゴマークのようなものが刻まれていた。
わたしは一度ボスの方を見ると、ボスが頷くのを確認してから再び木箱に視線を移し、そしてゆっくりとそれを開けた。
「···えっ?これって。」
その木箱に入っていたものを見たわたしは顔を上げ、ボスを見る。
ボスは穏やかで優しさのある中に切なさを感じさせるような表情を浮かべ、わたしを見ていた。
「それは、なっちゃんのお母さんが、なっちゃんの為に遺した物だよ。」
「えっ?!わたしのお母さん?!でも、わたしは施設育ちで、わたしに母親は···!」
ボスの言っている意味が理解出来ないわたしは、目を見開きながら、木箱の中の物に視線を移す。
ボスが渡してくれた木箱の中には、チェーン部分が錆び付いた光輝く赤い宝石が嵌められたネックレスが入っていたのだ。