君となら地獄を見たい
その後すぐに、大樹さんと綱海さんもやって来た。
大樹さんは相変わらずのミステリアスな雰囲気で「おはようございます。」と低い声を響かせると、広いソファーの一番端に腰を掛ける。
綱海さんは「射生ちゃん、久しぶりー!」とわたしの方へ駆け寄って来てくれると、わたしのネックレスに気付き「えっ!可愛いネックレス!」と褒めてくれた。
「ありがとう。今日は大事な日になるから、着けてみたの。」
「いいねぇ!凄く似合ってるよ!」
裏社会の人間じゃなければ、どこにでも居るような普通の可愛い女の子の綱海さん。
綱海さんと話していると、わたしまで"普通の女の子"に戻ったような気持ちに錯覚させられた。
それから堕璃さんもやって来て、「もぉ〜、働き過ぎで身体がガチガチ!」と言いながら、ソファーに身を投げるように座っていた。
「ボス!今回の任務が終わったら、長期休暇もらいますからね!!!」
「はいはい、どうぞどうぞ!」
不満を吐き出す堕璃さんの相手をするボスは、いつもの調子で真に受ける事なく、程よく流しながら聞いていた。
そして最後にやって来たのは、刃牙さんだ。
刃牙さんが本部にやって来るのは、いつぶりか記憶にないほど久しぶりだった。
基本的に任務の為に外部に出ている事が多い上に、今は山野首相の側近SPとして付きっきりの為、戻って来る機会がないのだ。
「刃牙、久しぶりだなぁ。」
「ボス、お久しぶりです。」
「今日は突然呼び出して悪いな。山野首相の護衛があるのに。」
「いえ、SPは俺だけじゃありませんし、SPの振りをして内部に潜入してた奴は摘んでおきましたので、少しの間でしたら問題ありません。」
刃牙さんはガタイが良く、身長も2メートル近くある為、存在自体にかなり迫力がある。
刃牙さんがソファーの真ん中あたりに勢い良く腰を落とすと、その体重からソファーがかなり軋んで揺れていた。
すると、刃牙さんのすぐ隣に座っていた堕璃さんが「ちょっとぉ!あんたが座るとソファーが沈むでしょ?!」と刃牙さんに噛み付いた。