君となら地獄を見たい

その後、みんなはそれぞれの準備に取り掛かる為、リビングを離れた。

任務開始時刻は、18時丁度。
そこから最後の戦いが始まるのだ。

わたしは自室に籠ると、毒針の補充を始めた。

それからもしもの時の為の持ち歩く用に止血剤や解毒薬なども準備した。

今までの出来事が脳裏に浮かんでくる。

わたしが自死する目的で包丁を購入した時の事。
それを実行する直前にボスが現れ、この世界に入る事になった時の事。

表向きは社長秘書として過ごした日々の事。

時折メンバーがリビングに集まり、他愛もない話をして、何でもない時間を過ごし、一緒に食事をした事。

ボスが初めて、わたしの母の存在について話をしてくれた時の事。

それから···―――――

寿砂が映る全ての思い出。

失うものなんて何も無くて、何にも怖くなかったあの頃を思えば、今は失いたくないものばかりだ。

わたしはふと、自分の首に下がるネックレスに手を触れた。

(お母さん···、見守っててください。)


そして、時間が過ぎるのはあっという間で気付けば18時間近となった。

みんながミクロマイクで繋がる中、それぞれの配置につく。

わたしは寿砂と共にボスの部屋で待機。
ボスの部屋には、大樹さんの居る監視室と外部へ直接抜けられる隠し通路がある為だ。

わたしは緊張から呼吸が早くなる。

すると、それに気付いた寿砂がわたしの背中を擦ってくれた。

「大丈夫か?」
「うん、大丈夫。ちょっと緊張してるだけ。」
「大丈夫だ、俺が居るから。」

寿砂はそう言うと、わたしの手を握り締めてくれた。

「俺の傍から離れるなよ。」

寿砂の言葉に少し気持ちが和んだわたしは、寿砂を見て頷くと、自分の気を引き締める。

(緊張してる場合じゃない。集中しないと。)


そして、その時は訪れた···―――――

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