君となら地獄を見たい

『······来た。』

ミクロマイクから、微かに大樹さんの低い声が聞こえた。

その声が戦いの始まりを示した事は誰もが分かっていた。

『みんな、あとはよろしく頼んだぞ。今までありがとう。』

静かに落ち着いた大樹さんの声が聞こえた次の瞬間、ミクロマイクから銃声が聞こえてきて、大量のガラスが割れるような音も聞こえてきた。

ガラスが割れる音は、恐らく監視室にあるモニターが割れた音だろう。

しかし、大樹さんの今の言葉が気になってしまい、わたしは身体が強張る中、ミクロマイクから聞こえ続ける銃撃戦の音を聞いている事しか出来なかった。

("今までありがとう"って、まさか···。)

銃撃戦をしているという事は、ボスの詠み通りイタチが侵入して来たのだろう。

今、堕璃さんと一閃くんが戦っている···――――

すると、最後にバンッ!と響く銃声のあと、ミクロマイクの向こう側から銃声が聞こえなくなった。

(堕璃さん?!一閃くん?!どうなったの?!)

そう思いながら緊迫する雰囲気が流れる中、誰かの荒い呼吸音が聞こえてきた。

『こちら、堕璃。イタチ、一閃が仕留めました。』

聞こえてきた堕璃さんの言葉に安心をしてしまうわたし。
しかし、まだ安心出来る時ではない。

『ただ、一閃は重傷を負っています。大樹は、離脱しました。』

(えっ!一閃くんが重傷?!でも大樹さんは······)

すると『一閃、よくやった。』と言うボスの声が聞こえてきた。

そのボスの言葉に応えるように『ありがとう、ござ、いますっ···』と苦しそうな一閃くんの声が聞こえたあと、酷く咳き込む一閃くんにわたしは「救護に向かいます!」と言った。

『射生、一閃を頼む。堕璃は、俺と綱海と合流だ。』

ボスからの指示に「了解」と返事をする堕璃さんとわたし。

わたしは寿砂と共に監視室へと急いだ。
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