君となら地獄を見たい
敵地に潜入すると、すぐに争う激しい銃声に何かを殴るような鈍い音と声が聞こえてきた。
駆け付けて一番最初に目に飛び込んで来たのは、鼻血を垂らし顔を腫らしながら、マカベに立ち向かう綱海さんの姿だった。
「なんだ、お前。もうフラフラじゃねーか!」
綱海さんを馬鹿にするように挑発するマカベの言葉に、頭の血管が切れそうな程の怒りを感じたわたしは、自分の人差し指にはめた指輪から毒針を出し、低姿勢でマカベに突っ込んで行った。
「ん?なんだ?また女か。」
わたしに気付いたマカベは余裕そうにそう言うと、わたしを捕まえようと構えた。
しかし、わたしはスライディングをしながらマカベの足の間を通り、その時にマカベの足首に毒針を2針打ち込んだ。
「すばしっこい女だな。」
そう言って振り返り、捕まえ損ねたわたしを見て笑うマカベ。
しかし、その余裕そうな顔も一瞬で終わる事になる。
「ん、何だ···?」
マカベは自分の身体の異変に気付いたようだ。
巨体の為、毒針が1針では足りないと予測し、2針打ち込んだが、それでも毒は効きにくいだろう。
それでもわたしが打ち込んだ毒は、ジワジワとマカベの体内に広がっていっているようだった。
「堕璃さん!毒で動きを鈍らせました!お願いします!」
わたしがそう叫ぶと、マカベは「何?!」と焦りを見せ、その瞬間に陰に隠れていた堕璃さんが銃弾を連発させた。
堕璃さんが撃った銃弾は、マカベの太腿、腹部、そして最後に額へと貫通し、マカベはゆっくりと体勢を崩していくと、大きな音を立て、床へと倒れ込んだ。
「射生ちゃん、助かったわ······」
そう言って、壁に背をつけ床に座り込む堕璃さん。
堕璃さんもマカベとの戦いでかなりの重傷を負っていた。
「堕璃さん!」
わたしが堕璃さんに駆け寄ると、堕璃さんは荒い呼吸をし、頭から血を流していた。
「わたしは平気よ。それより、綱海を······」
堕璃さんの言葉にふと綱海さんの方を向いたが、綱海さんは床に倒れており、寿砂が声を掛けていたが反応していなかった。
そして、寿砂が綱海さんの首に手を当て、脈を確認したが、寿砂はわたしの方を見て首を横に振った。