君となら地獄を見たい

綱海さんは、元の可愛らしい顔が分からなくなる程に顔を殴られていた。
そして、肋骨も粉砕骨折していたようで、その骨が内臓に刺さり、先程まで自力で立って戦っていた事が奇跡のような状態だった。

堕璃さんの状態もかなり酷い状態だった。
先程、ショットガンでマカベを撃ち、トドメをさしてはくれたが、その腕は既に両方が折れている状態だった。

腹部は紫色に腫れ上がり、きっと内臓も激しい損傷を負っているだろう。

堕璃さんは冷や汗を滲ませながら、「わたしの事は大丈夫だから、ボスのところへ行って。」と言った。

「でも······」
「わたしは、もう助からない。だから、早く···ボスを······」

わたしは堕璃さんを放っておけず、行くのを渋ってしまったが、そんなわたしの肩に寿砂は手を置いた。

「夏菜、行くぞ。」

すると、堕璃さんは自分が持っていたショットガンを寿砂に差し出した。

「あと、2発しか残ってないけど···持って行って。」

そう言って堕璃さんが差し出すショットガンを受け取った寿砂は「ありがとう。あとは俺等に任せて休んどけ。」と言った。

寿砂の言葉に堕璃さんは「ふっ。」と力無く笑うと、「あんた、やっぱりカッコいいわね。さすが、ボスの息子よ。」と言い、それからゆっくりと目を閉じ、ガクッと頭を落とした。

「あっ·····!」

わたしは堕璃さんを助けたい気持ちでいっぱいだった。
しかし、ボスの元へ行かなくてはならない。

「夏菜、あとはトバリだけだ。トバリを早く始末して、ここへ戻って来よう。夏菜はついて来てくれるだけでいい。トバリのトドメは···俺がさす。」

力強い寿砂の言葉に、わたしは頷いた。

「俺から離れるな、分かったな?」

そう言ってわたしの手を握り締めた寿砂は、わたしを立たせると、わたしの手を引きながら真っ直ぐ伸びる廊下を走って行った。

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