君となら地獄を見たい
すると、奥の部屋から銃声が聞こえてきた。
(ボスはあの奥に居る!)
そう思い、寿砂と急いだが、ミクロマイクから『まだ来るな!』とボスの声が響き、わたしたちは足を止めた。
「何でだよ!」
寿砂がそう言い、苛立ちを見せる。
ボスは『俺がGOサインを出すまで、待てと言っただろ。』と言い、それから『射生。火鷹が俺の指示を無視しないように、止めておいてくれ。』と言った。
(ボス······)
すぐそこで、すぐその部屋でボスが戦っているのに、わたしたちは待機を命じられた。
しかし、きっとボスは、同じ立場の"ボス同士"、対等に戦いたいのだろうと思った。
ボスは卑怯を嫌うそういう人なのだ。
そして無駄に寿砂とわたしを傷付けるような事はしたくない···――――
そう思ってくれているのかもしれないと思った。
ミクロマイクからは、トバリと戦うボスの声が聞こえてくる。
寿砂とわたしは、ミクロマイクから聞こえるボスの声に神経を集中させた。
"GOサイン"がきたら、すぐに飛び込めるようにだ。
その時、ミクロマイク越しではなく、「火鷹!!!射生を守れ!!!」というボスの声が廊下に響いた。
(えっ···?!)
その瞬間、奥の部屋からトバリらしき男が姿を現し、こちらに向けて発砲してきたのだ。
寿砂はわたしを包み込むように抱き締めると、銃弾を避けるように角へと身を隠した。
「クソッ、トバリの奴···!」
トバリはボス以外に、寿砂とわたしの存在に気付き、先にわたしたちを始末しようと狙って来たのだろう。
すると廊下には銃声が響き、その音はこちらに近付いてきた。
「トバリぃぃぃぃぃ!!!!お前の相手は俺だあああああ!!!!!」
そう言うボスの声が響き、銃声や鈍い音や争う声が聞こえてくる。
寿砂に包まれながら、わたしの身体は微かに震えていた。
それは死ぬかもしれない恐怖からではない。
ボスを失うかもしれない恐れからの震えだった。