君となら地獄を見たい

次の瞬間、廊下にボスの声が響いた。

「火鷹ぁ!!!行けぇ!!!」

ボスの声が響くと同時に二つの銃声が廊下に鳴り響く。

ボスの"GOサイン"に直ぐ様反応した寿砂は、堕璃さんから受け継いだショットガンを持ち、廊下へと飛び出して行った。

「寿砂あ!!!」

わたしも思わず寿砂を追い、廊下へと飛び出してしまう。

すると、そこには血だらけのボスが廊下のド真ん中に倒れており、寿砂がボスに駆け寄っていた。

「親父!」
「ボス!」

ボスは口から血を流しながら「馬鹿、行けって言っただろ。」と言った。

どうやら、先程の二つの銃声は相討ち状態だったらしく、ボスの発砲により致命傷を追ったトバリは逃げたようだ。

ボスは心臓付近を撃たれており、出血が酷かった。

「トバリも重傷を負ってる。もうそれほど動けないはずだ。あとは火鷹、お前がトドメをさせ。」

ボスはそう言って穏やかに微笑むと、寿砂の顔に手を伸ばし、寿砂はそのボスの手を強く掴んで握り締めた。

「わかった。」

それからボスはわたしの方を見ると、「なっちゃん。」といつものように呼んでくれた。

「火鷹を、よろしく頼むな。こいつは、意外と脆いんだ。」
「わかりました。」

涙を堪えながらわたしがそう言うと、ボスは優しく微笑み「ありがとう。」と言った。

「火鷹、俺はお前が息子であった事を誇りに思う。」
「···何言ってんだよ、最期みたいな事言うな。これからも、俺は···親父の息子だ。」

寿砂のその言葉を聞き、ボスは穏やかな表情のままゆっくりと目を閉じた。

「ボス···っ······」

すると寿砂は涙をグッと堪え、立ち上がると覚悟を決めたようにショットガンをリロードした。

「夏菜、行ってくる。」

そう言って寿砂は一人でトバリを追おうとしたが、わたしは寿砂の腕を掴んだ。

「わたしも行く。」

わたしは真っ直ぐに寿砂を見つめながらそう言った。

寿砂はわたしの覚悟を感じ取り、「分かった、一緒に行こう。」と頷いてくれた。

そして、寿砂とわたしはトバリが残して行った血の跡を辿り、トバリの跡を追った。
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