君となら地獄を見たい
走ってバスに乗り込み、時間を気にしながらバスに揺れる。
(18時には間に合いそうね。)
そして、わたしが向かった先は···――――
「珠菜(じゅな)ちゃん、お母さんがお迎えに来てくれたよ〜!」
そう言う保育士さんの言葉に反応し、パッと笑顔を見せる一人の女の子。
「あっ!ママァ〜!」
そう言ってわたしの元へ走って来て、小さな身体でギュッと抱き着いてくれる。
この子は、わたしの宝もの。
4歳になる娘の珠菜だ。
「今日は早かったね!」
「珠菜に会いたかったから、急いで帰って来たよ!」
「珠菜もママに会いたかったぁ〜!」
そんな愛おしい娘と手を繋ぎ歩く帰り道。
「今日は何食べたい?」
「ハンバーグぅ!」
「じゃあ、ハンバーグにしよっか!」
何でもない普通の会話がわたしにとっては、幸せで堪らなかった。
そして帰宅して、わたしと珠菜が洗面所で手を洗っていると、玄関の扉が開く音が聞こえ、その音に反応した珠菜が「あっ!パパ帰って来たよ!」と走って玄関に向かう。
わたしが珠菜のあとに続き玄関に向かうと、そこには娘を愛おしそうに抱き上げる寿砂の姿があった。
「おかえり。」
わたしがそう声を掛けると、寿砂は珠菜を抱きかかえたまま「ただいま。」と言って、わたしの傍まで歩み寄り、寿砂は珠菜も含めてわたしを抱き締めた。
「みんなでギュー嬉しいね!」
そう言って笑う珠菜に「そうだなぁ!」と、すっかりパパの顔になっている寿砂。
「あ、ほら。珠菜、まだおじいちゃんに"ただいま"してないよ。」
わたしがそう言うと、珠菜は「あっ!そうだった!」と言い、寿砂の腕から下りると、走ってリビングへ入って行った。
そして、リビングに置いてある小さな仏壇に向かって、小さな手を合わせ「おじいちゃん、ただいま!」と珠菜は言う。
わたしたちは仏壇にボスの写真を飾っており、珠菜にも「珠菜のおじいちゃんだよ。」と伝えていた。