贄と呼ばれた少女の、幸せ
少女が次につれてこられたのは、井戸のある裏庭だった。そこで少女はすべての衣服をはぎ取られ、水を張ったたらいに放り込まれる。少女は、やっぱり汚いと水をかけられるのだと思い、大人しくそれを受け入れた。
「嫌だわ、本当に汚い!」
「領主様、どうしてこんな汚い子供をつれてきたのかしら……」
「シッ! 余計な詮索なんてしない方がいいわ」
「ねえ、この髪どうする? 鳥の巣よりひどい」
「解すのは無理ね、切るしかないわ」
「やだ!! ねえ頭に虫が湧いてるんじゃない? 何か動いた!」
「一度ぜんぶ剃り落としましょう。剃刀と駆除薬を持ってくるわ」
女たちはきゃあきゃあと騒ぎながら、少女の髪を剃り粗い布で全身に泡を擦りつける。強く擦られ、少女の柔い肌は赤らみヒリヒリと痛んだが、少女にとっては痛いことが当たり前の日常だ。後で治せるといいなと思いながら、ただじっと現れては消えていく泡を見つめていた。