贄と呼ばれた少女の、幸せ
§
馬車は街から少し離れた、森の中にある大きな屋敷に到着した。
「ついてこい」
男はそう言って振り返ることもせずにすたすたと歩いていく。少女が懸命に足を動かしついていくと、数人の女たちに身柄を預けられた。
「それを洗って身綺麗にしろ。用意した部屋にいれ、最低限の世話をするように。関わることと、身体を損ねることは許さない」
男はそう言い残し立ち去った。
「かしこまりました」
女たちは揃って男の背中に頭を下げ、男の姿がすっかり見えなくなってから少女をつれて歩き始めた。